対称性―レーダーマンが語る量子から宇宙まで
全体を通した感想:「対称性」だけを手に、現代物理学の話題を分かりやすく説明している。
・第5章 ネーターの定理
ーここで「対称性があれば保存量がある」がでてきて、今後この本の中で
繰り返し使われる。
ーたとえば 運動量保存=物理法則が空間の並進に対して対称
・第6章 慣性
ーファインマンの子供の頃の「父親に慣性を教えられたとき」
のエピソード(慣性は気づかれにくい)
→現代に比べて古代は摩擦のない運動などは
考えられるはずがなかったのでアリストテレスでさえ
「運動しているすべてのものは静止する」と言った。
(木製の荷車に重い石を乗せて
うめき声とともに運んでいた時代)
・第8章 鏡映
ー鏡映に対して不変でない性質を手型性という
・右ねじを鏡にうつすと左ねじになってしまう
・ただし、右ねじと左ねじはどちらも物理的法則に反した所は何もない
ー一方地球上の生物に見いだされる糖分子は右旋回性
・生物のようなマクロな系では対称性が破れている
ー今自分が見ているものが鏡映でないとは分からないので、
鏡映に対しても「右ねじの法則」をつかうしかない
ー運動方向とスピンの方向が同じであることを「ヘリシティが正」という
ー著者レーダーマンがパイオンの崩壊で発生するミューオンの
ヘリシティを計測したところ、「ヘリシティが負」のものしかなかった。
→対称性の破れ?
ーミューオンを反ミューオンに変え(C)て、鏡映を見る(P)と対称性が
保たれる。CP対称性。
ーただし、1964年の「フィッチ/クローニンの実験」と呼ばれる
中性K中間子に関する実験ではCPが保存されないことが分かった。
→「弱い力」の物理学ではCPが保存されない
ー量子力学からの要請として全確率の保存を考えるならCPTは保存しなくては
ならない。(Tは時間反転)
→今のところCPT対称性の破れを報告する実験結果はない。
・第10章 量子力学
ー交換対称性
粒子x1とx2を入れ替えても確率が変わらないなら
|ψ(x1, x2, t)|^2 = |ψ(x2, x1, t)|^2
以下の二つの解が考えられる。
1: ψ(x1, x2, t) = ψ(x2, x1, t)
2: ψ(x1, x2, t) = - ψ(x2, x1, t)
1がボソン、2がフェルミオン
ー1の場合x1=x2が可能
→同じ場所に複数の粒子があってもよい。
むしろ確率的に見るとそのような状態が多くなる。
・ボーズアインシュタイン凝縮
ー2の場合x1=x2は不可能
→同じ場所に複数の粒子があることはない
・パウリの排他律
ーある系の中で二つの粒子を交換することは
系を180度回転させることと同等
・第11章 光の隠れた対称性
ー電荷が保存しているということはなにか対称性があるのではないか
→決して直接計測することのできない、ゲージ場の存在を仮定する
ー相互作用を表現するためにゲージ場は有用。電子の波動関数の
決して観測できない「位相部分」の変化とゲージ場の変化(ゲージ粒子の
放出)を合わせて運動量保存を説明する。
ーQEDでは反物質を「負エネルギーを獲得して時間を逆方向に進む物質」
と再解釈
ーファインマン図では2つの結節点を追加すると1/137だけ精度が向上する。
・付録 対称操作群
ーS_3 正三角形に対する対称操作の群 回転、鏡映あわせて6とおり
→頂点の置換だと考えていると、正方形の場合を考えたときに
違うことが分かる。
ーU(1) 円に対する対称操作の群 無限
→どんなに微小な円の回転も対称操作なので連続的な操作がすべて
元になる。
→回転は一方向なので一つだけ「生成子」を考えることができる。
ーSU(2) 球に対する対称操作の群
→exp(iTxθx + iTyθy + iTyθy)
→複数の操作を上記方法で展開して微少量について比べると
それぞれの操作が非可換であることがわかる
全体を通した感想:「対称性」だけを手に、現代物理学の話題を分かりやすく説明している。
・第5章 ネーターの定理
ーここで「対称性があれば保存量がある」がでてきて、今後この本の中で
繰り返し使われる。
ーたとえば 運動量保存=物理法則が空間の並進に対して対称
・第6章 慣性
ーファインマンの子供の頃の「父親に慣性を教えられたとき」
のエピソード(慣性は気づかれにくい)
→現代に比べて古代は摩擦のない運動などは
考えられるはずがなかったのでアリストテレスでさえ
「運動しているすべてのものは静止する」と言った。
(木製の荷車に重い石を乗せて
うめき声とともに運んでいた時代)
・第8章 鏡映
ー鏡映に対して不変でない性質を手型性という
・右ねじを鏡にうつすと左ねじになってしまう
・ただし、右ねじと左ねじはどちらも物理的法則に反した所は何もない
ー一方地球上の生物に見いだされる糖分子は右旋回性
・生物のようなマクロな系では対称性が破れている
ー今自分が見ているものが鏡映でないとは分からないので、
鏡映に対しても「右ねじの法則」をつかうしかない
ー運動方向とスピンの方向が同じであることを「ヘリシティが正」という
ー著者レーダーマンがパイオンの崩壊で発生するミューオンの
ヘリシティを計測したところ、「ヘリシティが負」のものしかなかった。
→対称性の破れ?
ーミューオンを反ミューオンに変え(C)て、鏡映を見る(P)と対称性が
保たれる。CP対称性。
ーただし、1964年の「フィッチ/クローニンの実験」と呼ばれる
中性K中間子に関する実験ではCPが保存されないことが分かった。
→「弱い力」の物理学ではCPが保存されない
ー量子力学からの要請として全確率の保存を考えるならCPTは保存しなくては
ならない。(Tは時間反転)
→今のところCPT対称性の破れを報告する実験結果はない。
・第10章 量子力学
ー交換対称性
粒子x1とx2を入れ替えても確率が変わらないなら
|ψ(x1, x2, t)|^2 = |ψ(x2, x1, t)|^2
以下の二つの解が考えられる。
1: ψ(x1, x2, t) = ψ(x2, x1, t)
2: ψ(x1, x2, t) = - ψ(x2, x1, t)
1がボソン、2がフェルミオン
ー1の場合x1=x2が可能
→同じ場所に複数の粒子があってもよい。
むしろ確率的に見るとそのような状態が多くなる。
・ボーズアインシュタイン凝縮
ー2の場合x1=x2は不可能
→同じ場所に複数の粒子があることはない
・パウリの排他律
ーある系の中で二つの粒子を交換することは
系を180度回転させることと同等
・第11章 光の隠れた対称性
ー電荷が保存しているということはなにか対称性があるのではないか
→決して直接計測することのできない、ゲージ場の存在を仮定する
ー相互作用を表現するためにゲージ場は有用。電子の波動関数の
決して観測できない「位相部分」の変化とゲージ場の変化(ゲージ粒子の
放出)を合わせて運動量保存を説明する。
ーQEDでは反物質を「負エネルギーを獲得して時間を逆方向に進む物質」
と再解釈
ーファインマン図では2つの結節点を追加すると1/137だけ精度が向上する。
・付録 対称操作群
ーS_3 正三角形に対する対称操作の群 回転、鏡映あわせて6とおり
→頂点の置換だと考えていると、正方形の場合を考えたときに
違うことが分かる。
ーU(1) 円に対する対称操作の群 無限
→どんなに微小な円の回転も対称操作なので連続的な操作がすべて
元になる。
→回転は一方向なので一つだけ「生成子」を考えることができる。
ーSU(2) 球に対する対称操作の群
→exp(iTxθx + iTyθy + iTyθy)
→複数の操作を上記方法で展開して微少量について比べると
それぞれの操作が非可換であることがわかる